珈琲が変化を起こす最後の行程、抽出。
珈琲の味は基本的にはベースとなる生豆の味と焙煎によって決まります。だからといって最後の行程の抽出を疎かにすると良い味は得られません。
たしかに酸化した古いコーヒーを抽出で蘇らすことはできません。(たとえ腕があっても)しかし、「良い珈琲」を「最高の珈琲」にすることが抽出にはできます。抽出方法は色々な方法がありますが、当店の抽出方法(ペーパードリップ)が味造りの参考になれば嬉しく思います。
其の壱【温度】
沸騰したお湯をポットに移し替えます、この作業によりお湯の温度が約5℃〜10℃下がります。(当店推奨適温86℃・・・お湯の温度は高すぎると 豆の表面が焼けてしまいます、お湯のあら熱を取ってやるのが大事)
其の弐【珈琲粉のサイズ】
中挽きのサイズを使用し、一人前約12グラムを目安にあとはお好みのさじ加減で。
(粉のメッシュは細かすぎると渋くなり、粗すぎると酸味が立ちます。ローストの深さでメッシュを変えるのが理想)
其の参【蒸らし】
抽出の前に豆全体にゆっくりとお湯を注ぐ。豆にお湯がいき渡ったら約20秒時間を置く。この時にフィルターにお湯がかからないように注意する。
(珈琲部分のみに注湯。この時のお湯の量は粉の量と同じくらいに。お湯の量が多いと粉は蒸らされず、少ないと蒸れにムラがでます。)
其の四【抽出】
蒸らしで盛り上がった豆の中央から円を描くようにお湯を細く注いでいく。(注湯の3湯目は2湯目よりも低く。高くするとペーパーによったシブが落ちてしまいます。)
其の伍【仕上げ】
お湯を注いだ後、お湯を抽出しきらないのがポイント。(お湯を落としきるとアクまで落としてしまいます。)この基本はペーパードリップでもネルドリップでも変わりません。
さてさて、ここからが大事。ここからはちょっと上級編。抽出に入る前にまずは「乳化」について説明を・・・。
「乳化」とは単純に説明すると水と油を馴染ませる作業。スパゲッティーを作るときにパスタの茹で汁を入れるのは味をなじませると同時に油と茹で上がったスパゲッティーとを馴染ませる作用があります。その方法ですが、例えばペペロンチーノの場合、ニンニクでオイルを取った後に茹で汁を入れて弱火でフライパンを揺するようにすると最初は分離していた油と水がやがて馴染んできます。
「トロ〜」とした液体になれば乳化は成功です。
この作業は珈琲にも言えることで、珈琲の油は注ぐお湯にも反発します。(他の油に比べると水溶性ですが。)
・・・となると、豆の油とお湯とを乳化させれば珈琲の粉の中に隠されたエキスがそのまま落ちるのではないかと思い次の方法を思いつきました。
ペーパードリップの場合、上記「其の参」の時に次のことを実行すると味は「ぐんっ」と変わります。
其の参【蒸らし〜乳化ヴァージョン〜】
抽出の前に豆全体にゆっくりとお湯を注ぐ。豆にお湯がいき渡ったら、ドリッパーをゆっくりと回しながら約20秒時間を置く。
つまり、ドリッパー本体を回転させることで珈琲とお湯とを乳化させることが出来るのです。乳化してお湯をたっぷりと吸い込んだ豆は珈琲エキスをたっぷりと含んだ琥珀の結晶となります。そこにお湯を注ぎ入れれば自然珈琲エキスが流れてきます。お湯の注ぎ方ですが・・・。
其の四【抽出〜乳化ヴァージョン〜】
蒸らしで盛り上がった豆の中央に最初は細いお湯をゆっくりと注ぎ入れる。お湯の抽出スピードは落ちてくるエキスと同等のスピード、つまりは重力に任したスピードで。ある程度エキスが落ちたら円を描くようにお湯を細く注いでいく。
たっぷりとエキスを吸い込んだ液体は「ドロッ」とした液体。これが珈琲の「旨味」「香り」「コク」を含んだ最高の液体。後はエキスを残りの珈琲で割るだけ。
つまりは珈琲の抽出とは珈琲エキスをいかに抽出するかにすべてが掛かっていると言っても過言ではありません。
抽出に対する当店の基本は「珈琲エキス」の「珈琲割り」。お湯を珈琲の粉で濾すのではなく、お湯と重力を使って珈琲を抽出しなければ「良い珈琲」は味わえないと思っています。