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2005 Le Jardin de Qahwah


Arabia
Felix

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その後・・
「1」


1月19日

今日はこの旅行最大の目的の一つジェルジェルツーに訪れる日です。イエメン「バニーイスマイル」に続き、モカコーヒーの聖地とも言える2代秘境の一つ。

・・・あぁ、しかし昨日の晩からの体調不良が響いてます。正直ヤバイ。行けるのか?そんな思いの中、朝食は喉を通らず。どうもここに来て体調不良は自分だけではないようです。連日のスケジュールは過密を極め、疲労も蓄積していったのは参加者同じようです。そんな我々をヤニ社長が助けてくれました。自宅で必要な人は注射を打ってもらい、薬を頂きました。私も薬をわけてもらったのですが、ヤニ社長「これはとてもデンジャーな薬だから2粒以上飲まないで」とのこと。・・・なにが入ってるんじゃ?そんな不安よりも体調を治す事優先。藁にもすがるおもいで薬を1錠だけ飲む事にしました。

準備が整った所で本日も長距離移動です。ジェルジェルツーまでの道のりは片道4時間半。ハラールの中でもかなりの奥地です。
途中、昼食に。何となく体は楽になってきたのに食事が喉を通らない。サンドイッチとバナナは食べれるときに食べようと思い。一錠じゃ効き目無いのかなと2錠目を飲む事に。

やがて到着です。自分がここまで来るとは思いもしませんでした。ハラールの奥地、ジェルジェルツー村。
農場は整備されています。苗は新しいものから古木までそれぞれ分けられています。 古木の生い茂るエリアに入ります。どの木も樹齢100年を越える立派な木です。

この村でのコーヒーの植え方は地面に穴を掘りコッコのまま2〜3個植えるために、一カ所からは複数の芽が出ます。
もう一つ特徴的なのはカットバックされていないということです。カットバックとは、木がある程度伸びた所で木の半分位の所から新芽を残しカットしてしまう方法で、木を太らせ収穫量を増やす方法です。カットバックされた木は枝葉を横に茂らせます。背の高さも収穫しやすい高さになるためコーヒー農園では一般的に行われている方法です。しかし、ここでは行われていません。何代も前に植えた先祖の木を切る事に抵抗があるようです。
結果、自然で強いコーヒーがここにある要因のひとつでもあるのです。
シェードツリーもコーヒーの木もスケールが大きい。外と木陰の温度差はかなり違います。 大きく健康なコーヒーの葉。葉脈がしっかりしています。
木は一カ所から4本から6本出ています。 この立派なコーヒーの木もエチオピア政府の政策で切られるかもしれません。

エチオピアの輸出産品の中でコーヒーが占める割合は65%と言われています。エチオピアにとってコーヒーは国を豊かにする貿易品目の一つです。
政府は生産量を増やすために生産性の悪い古い木を切り、新しい木を植えようとする政策があるそうです。貧しい農家を助け、生産現場の活性化には確かにこの政策の方が良いでしょう。しかし、犠牲になるものが余りにも大きいのではないでしょうか。コーヒーに限らず、過去にも生産性の向上のために駄目になった産業はいくらでもあります。私達はこの世界最古のコーヒー農園であろうこのジェルジェルツーのエリアを「世界遺産」に登録する事で農園を守り、正当な豆の価格で取引して(フェアトレード)行こうというのが目的の一つです。
樹齢200年を越える大きなコーヒーの木。高さは8mはあるのではないでしょうか?
ここのコーヒーはまっすぐ上に伸びる特徴があるそうです。
枝に実を付けたコーヒーの木。もちろんここでもドライオンチェリーで収穫されます。

6代前のご先祖が植えたコーヒーの木を守り続けて、その子供達が農園を守っていく。昔から変わらないコーヒーを中心とした営みがここには残っています。
昔からある木(樹齢200年を越える木)はこの家族の6代前の先祖が植えたそうです。 彼女の子供もおそらくこの地を守っていくのでしょう。
幹回りが80cm近くあるのではないでしょうか?コーヒーの木を育てた方なら判るかもしれませんが、幼い苗木は細い枝のようです。ここまでの幹回りになるのはどんなに大変か想像つくと思います。

この村でも、もちろん脱穀作業は行われます。木の臼でコーヒーの実を突いて脱穀していきます。これだけ重労働が重なるのに農民の暮らしは貧しいのです。これは、流通に問題があるのです。流通の手順はまず、コレクターと呼ばれる一次仲買人が担当の村を周りコーヒーを集め、ディレクターと呼ばれる2次仲買人がコレクター達から集荷して回ります。ディレクターはエクスポーターと呼ばれる最終業者に持ち込み、出荷されます。エチオピアにとって外貨獲得の重要な産業コーヒーは国に税金や手数料があらゆる段階で入る仕組みになっているのです。
脱穀はかなりの重労働。しかし、作業を行うのは女の子の仕事。脱穀後、彼女たちは豆をコレクターに売りに行く。
コレクターがこの豆をいくらで買っているか判らないが、おそらくビックリするような値段でしょう。一粒たりとも無駄に出来ないと感じます。

ジェルジェルツーでの収穫の手順です。前日紹介したハシゴはステップが付いていましたが、ここではありません。おそらく、木の高さに合わせてハシゴの高さを調整するためでしょう。
1)くくりつけた3本の木を広げ足場を作ります。重心を確かめ固定します。 2)足場の一つから勢いよく登ります。
3)筋力とバランス感覚ですね。軽々と登っていきました。 4)組合わさったてっぺんに立ち上がります。足場は狭く不安定。
5)収穫はこのように行います。手を伸ばした高さは6mにはなるでしょうか?とても登れません。
足場を下から見た所。木を組み合わせて縛っただけの足場です。
近くで写真を撮りたいのに近くだと被写体が大きすぎて収まりません。3分割した写真を1枚に合成してみました。側で見る迫力が伝わるでしょうか?

薬が効いてきたのかなんだか変にテンションが上がってきました。凄いぞあの薬。本当に一体、なにが入っているのだ!良かった、復活。ここはエチオピア。たぶん日本では許可のでない成分や割合がクリア出来るのでしょう。この際、治ればいいのです。

テンションも上がってきた所で、このハラールコーヒーのヤニ社長の説明を。ここのコーヒーの木はきわめて原種に近いのは環境や状況からも判断が付きます。これに加えヤニ社長は「コーヒーの原種はティピカやブルボンではなく、この村にあるようなコーヒーの木(アビシニカ)がコーヒーの母だ」と言っていました。真偽は定かではありません。学術的に検証していくべきでしょう。しかし、目の前にある木はその説得力のある立派な木である事には間違いないです。

帰国後、持ち帰ったアビシニアモカとイエメンモカの種を植えて育てていますが。この2種類、どちらも限りなく原種に近いはずなのに成長の仕方が違うのです。アビシニカモカは上に真っ直ぐ伸びて葉を付けるのに、イエメンモカ(ちなみにバニーイスマイルです。)は背が低く葉を大きく広げながら育っているのです。面白いですね。これからが楽しみです。
苗木の苗床。苗木は直射日光に弱いため藁で苗床を作ってました。この藁の苗床は水蒸気をまわす役割もあるようです。 肥料は動物のフンとコーヒーの殻を合わせたもの。肥料は自然に分解され土になる。

藁の苗床で幼い苗木は10〜12ヶ月間育てられます。その後、農園に植えられて長い月日をかけ育てられます。
ポットに入れられた苗。大切に育てられたコーヒーはいつの日か私達の口に届くでしょう。

我々、消費者が意識していく事で守られる味もあります。この村を訪れて感じた事は私の珈琲屋としてのこれからを決定づけた場所でもありました。この大切なものを伝えたい。最高のモカコーヒーを飲んでもらいたい。このための努力はなんでもする覚悟を決めた一日でもありました。